甲子園に秋風2005年08月16日 08:25

 ここ数年、甲子園に空席が目立つ。今年夏の大会は、8日目の13日・土曜日、豪腕と、豪打で鳴る2選手を擁する大阪代表・桐蔭の出場もあって、2001(平成13)年大会以来の1日入場者数8万人を記録したという。だが、観衆にジワジワと異変が起きている感は否めない。事実、大会期間中の入場者は、減少傾向をたどっている。2000年81万、01年79万、02年75万、03年68万、04年やや持ち直して71万人、といった流れである。
 長年、甲子園を見てきたスポーツ記者OBらの解説を聞くと、観客減少の要因は、次のような実態から生じているようだ。つまり、◇常連の"野球学校"が増え、顔ぶれに新鮮味がなくなった。◇地区代表といっても、他府県出身者で固めたチームが多く、ファンの郷土意識をそそらなくなった。◇眉は剃る、アット・バットは両手袋に防具、ユニフォームはメッシュと、高校生らしい質実剛健の魅力が消えた。(昭和初年に台湾から出場した嘉義農林は、裸足での健闘を讃えられた)。◇プロ選手のパドックのようになって、新聞記事による選手の批評も技能に重点が移り、内面の評価が衰えた。◇監督が"プロ化"してチームを渡り歩き、教育面より勝利至上の指導に傾くため、学生野球の清新さが乏しくなった。◇サッカーなど、他に観客動員力のあるスポーツが増えた。
 ズバリ言って、今日の甲子園野球は限りなくプロに近い姿になってしまった。あげく、飲酒だの喫煙だのと、まともなプロの運動選手なら心して避けるような悪習を、ルールを破って敢えてする不心得者が出る。親も教師も内面の教育を等閑視してきたからとしか言いようがない。
 なのに、高校球児がプロ野球OBから技術指導を受けることを、日本高等学校野球連盟が解禁したのには驚いた。しかもプロのOBが、現役時代のユニフォームを着て指導に当たる姿をテレビで見て、二度驚いた。これは、青田買いなのか? せめて、無地に日本野球機構のマークを付けたユニフォームでのご指南を請うべきではないのか。これで、どうして教育の一環と言えようか。脇村さん、こんなことでいいのですか。(;)