原点に帰ろう2005年08月17日 08:17

 批判ばかりが本意ではない。高校野球の原点復帰と再生を願って、最小限4つの提案をしよう。
 ◇1=プロ野球選手を目指す球児が増え、プロ野球の側も高い野球技能を持つ若い選手を欲しているのが現実なのだから、全国に10校ほど、全寮制の「野球高専」を作ったらどうか。この学校には、プロ野球も資金を出して国際的に活躍できる野球選手の養成を目指す。海外からも留学生を受け入れ、英・韓・中・西の野球圏の外国語会話の習熟、生活上の一般常識や実生活のマナーなどの教育に力を注ぐ。これらの「野球高専」が、春秋に東京ドームあたりで全国選手権を争えばどうか。
 ◇2=全国高校野球選手権は、参加校から「野球高専」を除き、地区予選でベスト16がそろったところで、16チームの登録選手全員を対象に連盟が用意した予選地区別の学力テストを課し、チームの成績順で8校に絞って準々決勝以降を闘わせる。本分の学業との両立を計り、技倆にのみ偏らない学生野球を実現することが狙いだ。──これは、朝日新聞社の社長・会長を務め、日本高野連の上部団体・全日本学生野球協会会長でもあった故広岡知男氏に、私が朝日在職中、少なくも2度提案したことがある。氏の答えは、そのつど「キミ、たかが野球だよ」というそっけないものだった。
 朝日社内では、昭和40(1965)年代の初めには、すでに内勤職場のそこここで夏の甲子園をテーマに「トトカルチョ」が行われていた。甲子園や東大野球部の球歴があり、当事社長だった氏にしては、無責任というか、学生野球堕落の先行きを見通せなかったようだ。
 ◇3=「野球高専」を除き、高校野球チームの監督は教員資格のある教師に限るべきだ。
 ◇4=「野球高専」を除き、高校野球選手の「地区外調達」に厳しい歯止めをかける。今大会の開会式における中山成彬文科相の来賓挨拶での異例の提案通り、「高校野球の原点に立ち返れば、郷土のチームで出場してこそ発展もある」。文科相の期待に応え、関係者は前向きに検討すべきだ。甲子園大会の先細りを、ファンが切実に案じていることを、主催者は深く認識してほしい。(;)