文明の衝突(10)2006年02月20日 07:59

 イスラームは、信徒の生き方にも深く根を張っている。例えば、飲酒や賭博にも厳しい。クルアーン第5章【食卓】90節は、「酒と賭矢、偶像と占い矢は、忌み嫌われる悪魔の業である。これを避けなさい」とし、同章91節には「悪魔の望むところは,酒と賭矢によってあなたがたの間に、敵意と憎悪を起こさせ、あなたがたがアッラーを念じ礼拝を捧げるのを妨げようとすることである」と書かれている。
 また、処世のいましめとして、男女とも人前で肌を露わにすることを原則として禁じている。聖地メッカがあるサウジアラビアで、イスラーム原理主義の若者たちがアルカイーダを組織化し始めたきっかけは、同国の石油採掘場や軍事基地内で、欧米の男女が全裸に近い姿で水遊びをしたり、酒を飲んで騒ぐことを、聖地を穢す風俗として排撃したことだったという。
 クルアーンは、女性に長衣をまとうことを求めている。第33章【部族連合】59節には、「預言者よ、あなたの妻、娘たちまた信者の女たちにも、かの女らに長衣を纒うよう告げなさい。それで認められ易く、悩まされなくて済むであろう」とある。また、第24章【御光】31節では、女は視線を低くし、貞淑を守るべきこと。ヴェイルをその胸の上に垂れ、夫または父の外は、かの女の美(や飾り)を表わしてはならない、と戒めている。
 加えて第4章【婦人】3節には、「あなたがたがもし孤児に対し、公正にしてやれそうにもないならば、あなたがたがよいと思う2人、3人または4人の女をめとれ。だが公平にしてやれそうにもないならば、只1人だけ(めとるか)、またはあなたがたの右手が所有する者(奴隷の女)で我慢しておきなさい。このことは不公正を避けるため、もっとも公正である、とも書かれている(クルアーンの邦訳は、日本ムスリム協会の「日亜対訳注解」による)。
 私たち西側の人間の脳に滲み込んだ、人権や自由・平等の思想を物差しにしてこれに接すれば、言語道断に思えても当然だ。だが異教の考えには、それが生まれた相応の理由がある。(;)

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