塩漬け八重桜2006年05月11日 08:00

 昨日、桜の花の塩漬けの話を書いたら、2人の友人から電話とメイルが来て、「遠慮せずに、分けろ」と、厚かましくも言う。2人とも、ちょくちょく来庵しているようだが、「コメント」は残さずに帰って行く「酒友」である。「次の飲み会に、小瓶に詰めて持って行くよ」と言ったら、「なに、遠慮せずに、大瓶で持って来てくれ」だと。
 彼らの勧めもあり、「塩漬け八重桜」の作り方を紹介しよう。
 材料の桜は「八重」に限る。それも、大年増を思わせる、色の濃い八重桜が好ましい。一重のソメイヨシノなどは、湯の中で開く時に、色も形も寂しくなる。本来は、婚礼など、祝いの添景だから、華やかな方がいい。
 まず、花びらが落ちない程度の、8分咲きのころを見計らって、花柄を付けたまま爪で摘む。八重桜は花柄が房状をしており、小さな柔い茶色の葉が付いているものもある。小庵では、この若葉も付けたまま漬ける。特有の苦みがいい。
 目安として1kgを漬けるとしよう。大きなレジ袋が2つ、満杯になるくらいの量だ。やはり、正確に重さを計った方がいい。摘み終えたら、さっと水洗いし、水を切る。底の平たい琺瑯引きかガラスの容器に、塩を一振りし、花を敷いては塩を振る要領で、花の層を重ねて行く。容器が汚れていたら、度の高い焼酎で消毒する。花1kgに、塩200gが目安だ。食に凝る向きは、塩を選ばれたらいい。今は、世界中の塩が手に入る。岩塩は避けた方がよかろう。なよやかな花への情けだ。
 容器に全部収まったら、呼び水4カップを回し注ぎ、落とし蓋をして、花と同じ重さ(1kg)の重しを乗せ、2~3日置く。ここまでが「下漬け」。レシピの「1カップ」とは、200ccである。
 水が上がったら、花を優しく絞り、大きな盆ザルに広げて水気を切る。ザルは前もって天日で消毒しておく。
 次が「本漬け」。前記の容器に、下漬けした花を入れ、1カップ半の白梅酢を回し注ぎ、落とし蓋をして、同じ重しを乗せ、塵よけの布巾か紙で覆って、1週間置く。
 花をそっと絞り、ひと房ひと房、丁寧に盆ザルに広げ、半日ほど風干しする。花がしっとりしているうちに塩をからめ、蓋で密閉できる容器に詰める。塩の量次第で、塩辛さと保存期間が決まる。その宵から、さあどうぞ。(;)