新聞の史観(17)2006年09月18日 07:59

 ノックス次期国務長官への書簡で、日本移民の増大に断じて反対であることを表明したローズヴェルトは、続けて労働組合の暴力による対応と、低賃金労働者を求める大企業の姿勢が、移民問題の混乱を引き起こしていることを嘆き、次のように述べている。
 移民問題の「ハワイにおける混乱の根源は、子弟の将来を考える能力を欠き、低賃金労働者(coolie=クーリー。中国語で苦力)が耕作する土地から上がる富にしか気が行かない、砂糖キビの大農場経営者や大規模雇用者の近視眼的な貪欲にある。結果として、彼らは、まず大量の中国人労働者を移入し、次いで日本人労働者を迎え入れた」
 「大統領として在任中、私は大規模砂糖キビ農場経営者のこうした貪欲さに抵抗し、ハワイをクーリーが耕す大農園の島に変えようという考えに反対して、小規模入植者の居住地にする方向に導くよう、できる限りの施策を執ってきた」「そして、アジア人クーリーの流入を規制する法制のない中で、ハワイ群島への南ヨーロッパからの移民を奨励し、可能な限りの努力を傾けて来たのである」
 「ハワイ群島に、われわれの普遍的な文明と文化を持つ白人をあふれさせるためには、砂糖キビ農場経営者の富など度外視し、この島々における日本人の数を減らし、どんな民族でも構わぬから、ヨーロッパ人を連れてくる以外に、われわれの目的を遂げることはできない」として、再び《日本論》に言及し、次のように述べて30数年先を予測する。
 「日本は貧しいため、戦争は望んでいない。そればかりか、中国およびアジア大陸に死活の問題としての利害関係を持つから、彼らがより賢い政治指導者を持てさえすれば、わが国との戦争に巻き込まれることを避けるだろう。というのは、日本が再び中国との間にことを構えるに際して、もしアメリカと戦争すれば、結果がどうであれ、日本は身動き取れなくなって破滅するからだ」。(;)