横組みの新聞2006年11月02日 07:56

 昨1日、産経新聞社から、紙に印刷された日本語の宅配日刊紙『SANKEI EXPRESS』が創刊された。最大のメダマは「横組み」である。
 かねてから「横組み新聞」への挑戦を提唱してきた私に、ジャーナリストのKさんから、早速、感想を求める電話が鳴った。もちろん、成功と発展を心から祈りたい。
 若い世代の「新聞離れ」が言われて久しい。だが新聞の側は、対応らしい対応をとってこなかった。後続の世代が離れて行くこと自体が、新聞の先行き不安を示しているのだから、事態は深刻だ。なのに、強いて挙げても、紙の新聞とは別立ての「電子版」への取り組みと、学校での教材扱いを目論んだNIE(Newspaper in Education)普及の活動くらいが主な対応策だった。そんな中、先行の「Net View」など、産経の時代対応はめざましい。
 私には、「新聞離れ」の1要因に、新聞社の「縦組み固執」と「商品の多様化忌避」があるように思えてならない。すでに教科書は、国語を除いてほとんど全てが「横組み」になっている。携帯電話のメイルやパソコンで情報を扱う際は、老いも若きも、読み・書きとも「横」である。公文書も然り。時代は、明らかに「横」なのだ。
 「横組み」の長所の1つが、電子情報との融通性である。情報の国際化には逆らえない。胡錦涛に「ふ・ちんたお」、盧武鉉に「の・むひょん」とルビを振っても、インターネットで検索したり、外国人にメイルを送る時は、「Hu Jintao」「Roh Moo-hyun」の英語(国際)表記が必ず要る。シーア派は「Shiites」、コンドリーサ・ライスは「Condoleezza Rice」と、正確に書かないと通じない。
 横組みなら、初出の名や「注」に国際表記を無理なく添えられる。『SANKEI EXPRESS 』創刊号は、トップ記事の書き出しが「George W. Bush」だった。国際派の知識人や、情報探究派の若者には受けるだろう。「コンパクト・サイズ」と称するタブロイド判32頁。これが「ニュース」部分と、「アート」部分に2分して読める。カラーが16頁で、20~30代を主な読者に想定しているという。読者の選択肢を増やしたのだ。
 さし当たり、関東が東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県、関西が京都市で発行とある。月極め税込み1,680円で戸別配達。詳細は、http://reader.sankei.co.jp/express/index.html。または電話で、関東=0120-919-005、関西=0120-34-3770。(;)