上海疑獄の裏 ― 2006年11月09日 07:58
旧友に薦められ、陳桂棣(Chen Guidi)・呉春桃(Wu Chuntao)夫妻著の『中国農民調査』=納村公子・椙田雅美共訳/文藝春秋・2005年11月初版という、長大なルポを読んでいる。
史上かつてない経済発展を誇る中国で、都市部の繁栄をよそに、極貧のまま取り残された農村で起きている、凄まじい政治の腐敗と農民の反抗を、安徽省を舞台に克明に綴った現地報告集だ。
華字34万字、邦訳1200余枚という大作。翻訳者にも敬意を捧げたい。実はこの本、2004年1月に中国で出版されると、3月には当局から発禁処分を受け"日陰者"にされた。
しかし、ホンモノには地力がある。去年暮れの時点で、推定700万部を超える「海賊版」が、中国国内で出回っているほか、数多くのウェブ・サイトが「電子版」を公開しているというから、中国社会はどっこいしたたかだ。
国外にも目利きはいる。ベルリンに拠点を持つEUの国際季刊誌『Lettre International』が、その「ユリシーズ・ルポルタージュ芸術賞=Lettre Ulysses Award for the Art of Reportage」の2004年度の1位に選び、5万ユーロの賞金を夫妻に贈った。
因みに、この賞の創設第1位は、2003年にアンナ・ポリトコフスカヤの『チェチェン──ロシアの恥』=Anna Politkovskaja『Tchétchénie: le déshonneur russe』Buchet/Castel, Paris, 2003=に与えられている。
周知の通り、ポリトコフスカヤは、プーチン政権下でのチェチェン民族主義運動への仮借ない弾圧を告発し続けてきた女性。去る10月7日、モスクワの自宅アパートの入り口で射殺体となって見つかり、世界に衝撃と怒りが走った。ホンモノのジャーナリストは、まさしく命がけだ。
胡錦涛政権は、「上海疑獄」とも呼ばれる、大規模な中共幹部による贈収賄事件の摘発を進めており、前国家主席・江沢民が人脈の本拠とする上海にクサビを打ち込んで、政権の強化に励んでいる。
中共・中央の腐敗堕落にも目を覆わせるのがあるが、地方でも、農村を中心に、去年は前年より1万3千件も多い8万7千件の反権力(つまり反中共)暴動の発生が報じられる。躍進・繁栄の陰の、この国の闇は深い。(;)
史上かつてない経済発展を誇る中国で、都市部の繁栄をよそに、極貧のまま取り残された農村で起きている、凄まじい政治の腐敗と農民の反抗を、安徽省を舞台に克明に綴った現地報告集だ。
華字34万字、邦訳1200余枚という大作。翻訳者にも敬意を捧げたい。実はこの本、2004年1月に中国で出版されると、3月には当局から発禁処分を受け"日陰者"にされた。
しかし、ホンモノには地力がある。去年暮れの時点で、推定700万部を超える「海賊版」が、中国国内で出回っているほか、数多くのウェブ・サイトが「電子版」を公開しているというから、中国社会はどっこいしたたかだ。
国外にも目利きはいる。ベルリンに拠点を持つEUの国際季刊誌『Lettre International』が、その「ユリシーズ・ルポルタージュ芸術賞=Lettre Ulysses Award for the Art of Reportage」の2004年度の1位に選び、5万ユーロの賞金を夫妻に贈った。
因みに、この賞の創設第1位は、2003年にアンナ・ポリトコフスカヤの『チェチェン──ロシアの恥』=Anna Politkovskaja『Tchétchénie: le déshonneur russe』Buchet/Castel, Paris, 2003=に与えられている。
周知の通り、ポリトコフスカヤは、プーチン政権下でのチェチェン民族主義運動への仮借ない弾圧を告発し続けてきた女性。去る10月7日、モスクワの自宅アパートの入り口で射殺体となって見つかり、世界に衝撃と怒りが走った。ホンモノのジャーナリストは、まさしく命がけだ。
胡錦涛政権は、「上海疑獄」とも呼ばれる、大規模な中共幹部による贈収賄事件の摘発を進めており、前国家主席・江沢民が人脈の本拠とする上海にクサビを打ち込んで、政権の強化に励んでいる。
中共・中央の腐敗堕落にも目を覆わせるのがあるが、地方でも、農村を中心に、去年は前年より1万3千件も多い8万7千件の反権力(つまり反中共)暴動の発生が報じられる。躍進・繁栄の陰の、この国の闇は深い。(;)
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