発信の責任(下)2007年01月04日 08:07

 ウェブ世界の無法状態は、現実にさまざまな犯罪を引き起こし、それ見たことかとばかりと、既成メディアに話題を提供している。
 旧臘も、あるプロヴァイダーのオークションを悪用した“家電業者”が、持ってもいない商品をセリにかけ、数百人のユーザーからの送金を詐取した事件が、メディアを賑わした。結局、約9千万円の被害額の全てを、プロヴァイダーが補償して収めたようだが、この手のネット詐欺は、今日のウェブ世界では珍しいことではない。
 こうした商業犯罪とは別に、被害者に深刻な心の疵を負わせるのが、ネットにおける誹謗、中傷、プライヴァシー侵害などの犯罪行為だ。これまた深刻な社会問題を起こしているが、ネットの世界では予防や規制への意識が乏しく、ほとんどの場合、野放し・泣き寝入りで終わっている。
 その大きな理由は、既成メディアにおいては極めて重要な機能とされている「発信に先立つ情報の吟味」というフィルタリングが、ネット世界の情報発信では、「発信者の良心」以外にないことが挙げられる。さらに、ネットへの情報発信に、広く「匿名」が認められていることが、無責任で犯罪的な情報を増大させる決定的な要因になっている。
 そもそもネットにおける「言論の責任・倫理」は、全ての情報発信者と、その情報の流通を支えているプロヴァイダーが、「ウェブ世界の信用」の問題として、互いに協力し、不断の向上努力を尽くすべき「自主規制」の課題である。
 ところが不幸にも、プロヴァイダーには既成メディアで「言論の責任・倫理」と取り組んだ人材は、ほとんどいない。逆に、情報流通の面で最も積極的に“自由放任”を唱え、商取引に関しても「危険買い手負担」論者が目立つ広告業界からの参入者が多い。
 このように、既成メディアの情報流通と、ウェブ世界の情報流通には、情報の管理システムに大きな違いがある。
 だが、ネットの利用が生活の隅々に浸透した今日、ウェブの信頼性を高めることは社会的急務であり、そのためにまず、ネットでも匿名情報の発信を排除すべきだと考える。(;)

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_ 生命保険の真実を伝える - 2007年01月08日 14:52

元生保所長を勤めていた執筆者が、生命保険加入に対する基本的な考え方を整理しました。この記事は保険設計についての記事です。不要でしたら削除下さい。
失礼いたしました。