米国真っ二つ2007年01月25日 08:01

 昨24日は、午前11から衛星放送でブッシュ米大統領の一般教書演説のテレビ中継を見た。米東部で午後9時、西部で同6時という「ゴールデン・タイム」の中継である。政治は、今や多分にショウだ。
 昨秋の中間選挙の結果、今年は上下両院とも民主党が多数を占め、演壇の背後には副大統領のディック・チェイニーの隣に、女性の下院議長ナンシー・ペローシが座るという、史上初の光景になった。
 開会冒頭、大統領が議場に入ることを告げる衛視が、ざわついている議場を鎮めるために大声で叫ぶ「議長ーッ!」の声も、今年は 「Mr Speaker !」 でも 「Mr Chairman !」 でもなく、「Madam Speaker !」だった。大統領も、まず女性議長に敬意を表して讃辞を贈った。
 大統領は、相当に練習したのだろうか、原稿を読む場面は少なく、かなり流暢に、まず増税なき経済繁栄をうたう楽観的な経済・財政問題から演説に入った。数の力が鮮明に表れていた。民主党の面々の自信に満ちた態度が、大統領演説に対する賛否の表情と、拍手の仕方にはっきり表れた。
 ペローシ議長は、スタッフから事前に「おすまし顔でいて下さい、眉をつり上げたり、口をすぼめたりして大統領サイドのカメラマンに捕まらないように」と、指導されていたそうだ。
 しかし、「終わりなき《テロ》との戦争に、イラクでの失敗は許されないのだ。軍の増派計画を支持して、チャンスを与えて欲しい」と、大統領が訴えたくだりでは、顔と肩を怒りにこわばらせて座ったまま。起立して拍手する隣席のチェイニー副大統領と、凄まじいコントラストを見せた。議会も、国民も、今やまっ二つという感じだ。
 米国らしかったのは、最後に大統領が「ファースト・レディーの招待客」から、小さな事業を2億ドル企業に育てた女性経営者、イラク戦線で腕や両脚を撃たれながら、後送を拒んで戦い続けた軍曹と並んで、1月2日にマンハッタンの地下鉄駅で、ホームから落ちた病人を身を挺して救った建設労働者ウエズリー・オートリー(Wesley Autrey)を紹介、満場を沸かせた場面だった。(;)