反戦のうねり2007年02月01日 08:04

 27日の土曜日、ワシントンのナショナル・モールに全国から約40万人が集まって、ブッシュ大統領の米軍イラク増派計画に反対を叫んだ。集会を呼びかけたのは、全米約1,400の団体からなる「平和と正義のための連合=United for Peace and Justice」。同じ日に、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、サクラメントなどでも、これより小規模の反戦集会が開かれた。
 ワシントンの会場には、宗教団体の代表、民主党の下院議員、ベトナム反戦運動を今は亡き父とともに闘った女優ジェーン・フォンダ(69)などの芸能人、イラク帰還兵を含む100人ほどの現役兵士らが姿を見せ、それぞれ熱っぽく、反戦とイラク即時撤退を訴えたという。
 泥沼状態に陥ったイラク戦争は、しばしばベトナム戦争との対比で語られるようになったが、米国民の多くが、両者の基本的な違いに気付き始めている。
 つまりベトナム戦争には、腐敗して人心が離れた南ベトナム政府を米国が支援することへの疑問が消えなかったにせよ、「一党独裁の社会主義か、民主制の自由社会か」をめぐる「生き方の選択」という大義名分があった。
 だが、イラク戦争は初めから大義名分の曖昧さが指摘された。あるはずの大量破壊兵器も見つからず、アルカイーダなどとの関連もぼやけ、ワシントンの政治権力とその周辺による石油利権漁りの疑いが次第に深まった。
 死傷者は、ベトナム戦争の米・南の98万、北の227万人に比べて少ないが、すでに3千を超える米兵が命を失い、負傷者は2万3千近く。イラク人の死者は11万人を超えた。
 ニューヨーク・タイムズ電子版によると、集会には、陸軍中尉である息子がイラク赴任を拒んだ罪で来月軍法会議に付せられる、ハワイの日系市民ロバート・ワタダ(67)も来ていて、「こんなに多くの死者が出ているというのに、ブッシュの暴走を止めるよう、なおも議会に運動しなくちゃならんとは……」と嘆いた。
 デモの群衆の一部が、ラマディーで片脚を失った空挺隊員(25)ら徹底抗戦派のデモ隊と、ツバを吐き合う場面もあったが、大方は怒りの炎を胸に、静かに散会したという。(;)