運転士の女房2005年11月21日 07:08

 ハプニングは、11月1日正午前に起きた。東武野田線の、大宮発柏行きの普通電車が舞台。事実関係については、各紙の報道を総合して言挙げすることを許していただきたい。
 電車が春日部市内の南桜井駅に停車中、妻に連れられて先頭車両に乗っていた運転士(32)の長男が、客席から運転室のドアを叩いた。長男といっても、まだ3歳である。
 電車は、対向車両を待避するため、しばらく止まっていた。運転士がドアを開けてやったのは、後に本人が弁解したように「注意しようとして」というより、勤務中の身を忘れた「親子の情」であろう。親子4人は、運転士の乗務が終わった後に、買い物を楽しむ約束だったという。
 長男は、開けられたドアから運転室に入って来る。ここで、運転士はハッと「父親」から「運転士」に目覚めたようだ。長男を、運転室の外へ出そうとした。が、長男は「子」以外の人間にはなれない年齢だ。運転士の言うには、「泣いてしゃがみ込んでしまった」。
 発車時刻になる。運転士はそのまま発車を優先。次の川間駅まで、3歳の子は運転室で過ごし、同駅で客席の母親の元へ戻ったという。このハプニングが、乗客の通報で鉄道会社の知るところとなった。会社は10日、この件をメディアに公表し、14日、予告通り運転士を懲戒解雇に処した。反響は大きかった。会社の発表では、15日までに約2000件の電話、メイルなどが寄せられ、「クビにまでするのは、厳しすぎる」というものが、大半だったという。勤務中に「第三者」を運転室に入れることを服務規程違反とする処罰で、解雇を妥当とする意見は120件余りだったらしい。
 3歳児といえば運転装置に手も届かず、届いても動かせる力もなかろう。例えば、3ヵ月の停職と減給といった形で、ことの重大さを、家族に噛みしめさせる処分もあったのではないか。何か他の事情があったのかも知れないが、単純すぎる懲罰だと、私も思う。
 それにしても、妻(母)の責任を論じた新聞が見当たらなかったのは不思議だった。夫の職業によっては、妻にも同様の厳しさが求められる。(;)