Amazing Grace2006年12月26日 07:58

 23日・土曜日の午後、藤沢市民会館小ホールで「湘南スウィングジャズオーケストラ」のチャリティー・コンサートを聴いた。年末恒例の催しで、今年は23回目。ホールは満員だった。
 オーケストラを立ち上げ、率いて来たのは、高校の同期生で、この世界ではちょっと名の知れたジャズ・ピアニスト梅澤曜吉である。50歳になった1984年、思うところあって、この慈善演奏会を始めた。入場料代わりに集められた浄財は、毎年、全額が福祉団体に寄付されている。
 2003年夏、仕事で演奏中の梅澤を脳血栓が襲った。幸い症状は軽かったが、ピアノ弾きにとってはつらい、右手脚の軽微な麻痺が残った。だが、あきらめなかった。楽団のリーダー役は仲間に譲ったものの、その年の慈善コンサートにもゲスト出演し、右手をかばいながらも弾いた。
 その梅澤を、病魔が連打した。04年12月、結腸癌の診断で手術を余儀なくされ、恒例の慈善演奏会への出演を初めて見送った。口惜しかった。この演奏会は彼の執念だった。彼ばかりでない。月2回の日曜日を全員練習に割く、20代から60代まで19人の団員にも、一年の集大成だ。
 昨05年暮れ、彼は再び元気な姿を舞台に見せた。客席には、梅澤を励まそうと、旧友や知人が増えた。まだ、楽屋でも杖を離せなかったが、舞台の下手から現れると、客席に気づかれぬよう、杖を舞台袖の夫人に託し、その手をピアノの端にすっと移して体を支え、演奏の席についた。
 今年10月、梅澤はまたも手術を受けた。開腹手術の跡にヘルニアができて、除去した。茅ヶ崎、藤沢、横須賀など湘南の各地から集まる、職業も多様な団員から「先生」と慕われる彼は、手術から2カ月後のこの日、舞台に立った。ゲストとして2曲。右手の不自由を補うように自ら編曲した「Amazing Grace」と「Rhapsody In Blue」。鍵盤と戯れているような、円熟の演奏だった。
 なぜ「Amazing Grace」を選んだのか、訊かなかった。が、本来が「賛美歌・第2編167番」だ。わかる気がした。涙が出てならなかった。みんなの願いだ。梅澤、また来年の暮れも頼むぞ。(;)
 =この曲を思い出したい方は、次をクリックしてください。
      http://www.hi-ho.ne.jp/luke852/agstory.html
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コメント

_ Luke ― 2006年12月27日 23:12

●竹庵さま、
 お友達を思うお気持ちが、胸を打ちます。
 
 「Amazing Grace」の作者は奴隷商人だったとか。
 即身仏となられた鉄門海上人も、悪行の限りを尽くした荒くれ者だったと聞きます。

 奴隷商人や荒くれ者の例えは失礼かと存じますが、この賛美歌を選ばれたお友達は、苦難の日々を過ごされた後の、さぞ澄み切ったお気持ちではなかろうかと、愚考する次第です。

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