罪を招く飢え ― 2006年12月05日 07:56
戦後のどさくさには、地方の農村にも無法状態が広がった。特に、焼け野原と化した都会の周辺では、「特攻崩れ」と呼ばれた青年たちが、大きな農家に日本刀や拳銃を振るって押し入り、強盗を働く事件も相次いだ。
特攻隊で死を決意していた青年が、敗戦で生きる目的とすべを失って、自暴自棄の犯行に走ったのである。まだ10代の者もいた。
食糧の買い出しに来た都会の女性が、集団で乱暴されたりすることもあって、敗戦国の現実は悲惨だった。食糧の買い出し自体が、多くの場合、背に腹を替えられぬ違法行為である。思えば飢えこそが、人心を荒廃させ、罪に押しやる元凶の最たるものだろう。
竿と糸と釣り針か、網や小さな梁で魚を獲る分には、実益を兼ねた趣味の域を出まいが、飢えをしのぐための、血眼の魚獲りが始まると、手段も過激になった。
軍需工場がなくなって、職も失った青年は、職場で得た知識を活かし、小型のバッテリーと手製の変圧器を組み合わせ、電気ショックで魚を獲る道具を作った。
装置から電線を伝って電流が流れる2.5メートルほどの竿の先を、川のよどみに突っ込む。とたんに、大小の魚が白い腹を見せて、ぞろぞろ浮いてきた。
成魚も稚魚も根こそぎの漁法で、当時から違法だと聞いていたが、青年が捕まった話は聞かなかった。警官も忙しすぎたか、空腹すぎたのだろう。
もっと悪いのがいた。1、2級の河川で、大っぴらに石を積んだ堰を造り、上流にカーバイドを投げ込んで密漁した。仲間内で食った残りは、闇市で売ったと、自慢ばなしを何度か聞いた。
これを上回る酷いのになると、終戦で復員する時、軍隊から密かに持ち帰った手榴弾を、1級河川のよどみに投げ込んで炸裂させ、鮎をごっそり獲ったという話だ。
もっともこの鮎は、腹が裂けたり、目が飛び出たりで、闇市で買い叩かれたそうだが、飢えた人々にとっては、それでも大御馳走だった。 間違いなく、飢えは罪人を作る。
この冬、北朝鮮の民は、寒く、ひもじかろう。(;)
特攻隊で死を決意していた青年が、敗戦で生きる目的とすべを失って、自暴自棄の犯行に走ったのである。まだ10代の者もいた。
食糧の買い出しに来た都会の女性が、集団で乱暴されたりすることもあって、敗戦国の現実は悲惨だった。食糧の買い出し自体が、多くの場合、背に腹を替えられぬ違法行為である。思えば飢えこそが、人心を荒廃させ、罪に押しやる元凶の最たるものだろう。
竿と糸と釣り針か、網や小さな梁で魚を獲る分には、実益を兼ねた趣味の域を出まいが、飢えをしのぐための、血眼の魚獲りが始まると、手段も過激になった。
軍需工場がなくなって、職も失った青年は、職場で得た知識を活かし、小型のバッテリーと手製の変圧器を組み合わせ、電気ショックで魚を獲る道具を作った。
装置から電線を伝って電流が流れる2.5メートルほどの竿の先を、川のよどみに突っ込む。とたんに、大小の魚が白い腹を見せて、ぞろぞろ浮いてきた。
成魚も稚魚も根こそぎの漁法で、当時から違法だと聞いていたが、青年が捕まった話は聞かなかった。警官も忙しすぎたか、空腹すぎたのだろう。
もっと悪いのがいた。1、2級の河川で、大っぴらに石を積んだ堰を造り、上流にカーバイドを投げ込んで密漁した。仲間内で食った残りは、闇市で売ったと、自慢ばなしを何度か聞いた。
これを上回る酷いのになると、終戦で復員する時、軍隊から密かに持ち帰った手榴弾を、1級河川のよどみに投げ込んで炸裂させ、鮎をごっそり獲ったという話だ。
もっともこの鮎は、腹が裂けたり、目が飛び出たりで、闇市で買い叩かれたそうだが、飢えた人々にとっては、それでも大御馳走だった。 間違いなく、飢えは罪人を作る。
この冬、北朝鮮の民は、寒く、ひもじかろう。(;)
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