入試の突破術 ― 2006年11月01日 08:00
庵の近くに、信号待ちをかわせる細い裏道がある。その裏道と表通りにまたがって、高校受験の塾がある。経営者自身も教鞭を執るといった規模の塾だが、表通りに面した3階建ての小ビルの前面には、「○○高校××人、△△学園××人、……」と、県内有名進学高校に合格した塾生の人数を大書した紙が、これ見よがしにべたべたと貼ってある。一見して、教えているのは、「入試突破術」であることがわかる。こんな「商売」が繁盛する時代は、子らが幸せであるはずがない。
先に紹介した細い裏道は、直線でほんの50mばかり。中ごろに、塾へ通ずる裏口があり、裏庭は小さな駐車場になっている。一方通行ではないが道幅は狭く、普通の車がすれ違うのは難しい。ただ、互いに前方の見通しはいいから、対向車がすでに進入していれば、すれ違える幅の入り口で待機するのが暗黙のマナーだ。
ところが先日、車でこの裏道に入って途中まで進んだら、前方から勢いよく入って来る小型車がある。当方は、すでに半ばを過ぎようとしていた。先方が入り口にバックして戻るかなと思いきや、どんどん進んで来る。
期せずして双方が停止した。すると、先方の運転席の男が、塾の裏庭を指差して、手のひらをひらひらさせながら、当方に後退を求める。
その身勝手さには、ただ驚くばかり。争うのも厭だからバックして道を譲ってやったら、会釈もせずに塾の裏庭に滑り込んで行った。同乗の家内の方がムカついて、「あの男、塾の経営者よ。なーんて図々しいのかしら」と毒づいた。
こんな手合いだ。他人を押しのけ、蹴落として、有名進学校への難関突破術を伝授する進学塾の経営者には、うってつけなのだろう。
教育基本法改正の国会審議が始まるのにぶつけたように、大学進学で著名な高校での世界史など必修科目の履修省略が明るみに出て、教育現場の歪みが改めて問題化している。塾は要るのか。──教壇に立つ者全てが、教育の本質を考え直す時だ。受験競争の「勝利術」には、国の将来を託せない。(;)
先に紹介した細い裏道は、直線でほんの50mばかり。中ごろに、塾へ通ずる裏口があり、裏庭は小さな駐車場になっている。一方通行ではないが道幅は狭く、普通の車がすれ違うのは難しい。ただ、互いに前方の見通しはいいから、対向車がすでに進入していれば、すれ違える幅の入り口で待機するのが暗黙のマナーだ。
ところが先日、車でこの裏道に入って途中まで進んだら、前方から勢いよく入って来る小型車がある。当方は、すでに半ばを過ぎようとしていた。先方が入り口にバックして戻るかなと思いきや、どんどん進んで来る。
期せずして双方が停止した。すると、先方の運転席の男が、塾の裏庭を指差して、手のひらをひらひらさせながら、当方に後退を求める。
その身勝手さには、ただ驚くばかり。争うのも厭だからバックして道を譲ってやったら、会釈もせずに塾の裏庭に滑り込んで行った。同乗の家内の方がムカついて、「あの男、塾の経営者よ。なーんて図々しいのかしら」と毒づいた。
こんな手合いだ。他人を押しのけ、蹴落として、有名進学校への難関突破術を伝授する進学塾の経営者には、うってつけなのだろう。
教育基本法改正の国会審議が始まるのにぶつけたように、大学進学で著名な高校での世界史など必修科目の履修省略が明るみに出て、教育現場の歪みが改めて問題化している。塾は要るのか。──教壇に立つ者全てが、教育の本質を考え直す時だ。受験競争の「勝利術」には、国の将来を託せない。(;)
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