核を考える(7)2006年11月22日 07:58

 わが国の「核防衛」は、とどのつまりアメリカの核と、有事の際にそれを行使してくれる「善意」に頼るしかないことは、はっきりしている。
 しかし、そのあまりにも他人任せの不甲斐なさを何とかしなくてはと、防衛当局が探っているのがBMD(弾道ミサイル防衛=Ballistic Missile Defense)である。
 ただし、これとてアメリカとの共同開発で、曲折を経ているうちに、1998年8月、北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン」の日本列島頭越し発射を契機に積極開発の方向に転じ、2003(平成15)年12月、小泉内閣の下で、システム導入が決まった。
 北朝鮮の長距離弾道ミサイルが、米本土への到達をも意図していることが見えてきた現在は、日米共同防衛の性格をはっきりさせ、発射されたミサイルを迎え撃つ次世代のミサイル「SM-3=Standard Missile-3」を日米共同で開発するかたわら、近々、米海軍のミサイル防衛イージス艦を横須賀と新潟に配備するほか、「パトリオットミサイル PAC-3=Patriot Advanced Capability-3」の沖縄や首都圏への実戦配備も進行中だ。
 弾道ミサイルを、発射直後の「上昇過程」、大気圏外の「航行過程」、大気圏再突入の「最終過程」のいずれかの過程でミサイルで迎撃する仕組みだが、当然ながら発射直後の「上昇過程」や「航行過程」の中ごろまでは、どこへ向けて撃ち出したのか、判定は不可能に近い。しかし、両過程での迎撃の機会を失えば、最高速に至る「最終過程」での迎撃はますます困難になる。
 ところが、与党・公明の太田昭宏代表は、11月15日、日本外国特派員協会での講演後の質問に答え、「アメリカに向けて発射されたもの(への迎撃ミサイル)は、集団自衛権の行使となる」と語った。
 発射されたミサイルが、飛んで行く先を示す星条旗や日の丸を付けているわけでもあるまいし、国会議員の「無邪気な防衛観」と、集団的自衛権を含め「自衛権」を条文上認めていない憲法の「当為の幻影」を受けた発言で、国民挙げての論議の俎上に供すべきテーマであろう。(;)

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