サクラ公聴会2006年11月07日 08:02

 公務員の中に、民主国家と国民に仕えている立場を理解しているのか、危ぶまれる者がいる。
 青森県八戸市で、今年9月2日に「教育改革タウンミーティング イン 八戸」が開かれた際、主催した小泉政権下の内閣府から青森県教育庁に対し、事前に質問者の確保と、教育基本法改正への賛成発言を誘導する工作が行われ、これを地元の中学校長に依頼した文書が暴かれた。
 「証拠」は、10月31日の衆院教育基本法特別委員会で、共産党議員から披露され、内閣府は工作の事実を認めた上、「来場者の活発な意見を得るための依頼や、参考資料を提供することもある」と弁解した。タウンミーティングは、小泉前首相キモ入りのイヴェントだったが、民主的手法を装った"八百長集会"と化した一例で、改めて小泉流「劇場政治」の欺瞞性を感じさせられる。
 露呈した2通の文書は、どちらも同県の教育政策課と教育事務所が作成した地元中学校の校長2人に宛てたファクスのコピー。8月30日付の「タウンミーティングの質問のお願い」と題する文書には、具体的な「質問案」が並び、「当日は○番の質問をお願いします」として、「時代に対応すべく、教育の根本となる教育基本法は見直すべきだと思います」の項が指定されている。
 また、9月1日付文書には、「内閣府から発言の仕方について注意があった」として、「できるだけ(せりふの棒読みは避け)自分の言葉で話し、『お願いされて』とか『依頼されて』などと言わないで(あくまで自分の意見を言っている、という感じで)発言して……」などと"注文"が連ねてある。11月に入って、他にも"サクラ質問者"が見付かった。
 ミーティングには、当時の小坂憲次文科相らも出席した。開催を準備した役人たちは、まず大事なく、円滑かつ盛大にミーティングを終えることが、最大目的だったのではないか。ミーティング本来の狙いは、為政者の政策構想を市井に問うことだったはず。役人らの保身がそれを歪めた。
 政務官の量産で内閣が肥大する中、選挙民の代表であるはずの政治家までが、立身出世や保身を願って、時の権力にゴマを擦ることが常態になってはならぬ。今回の例は厳しい警告だ。(;)

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