説得が足りぬ2005年08月26日 08:19

 首相の肩を持つ側には、「郵政民営化は小泉畢生の課題であり、今度の選挙で敗れたら退陣とまで断言しているのだから、信念の政治課題に殉ずる姿勢は立派だ」という人がいる。また、「国会で否決された郵政民営化の当否を、国民に直接問うのが狙いで。選挙の結果、圧倒的多数の選挙民の支持を得れば、参院の反対派が態度を変える事態になるかもしれない」とも言う。──政治の世界、一寸先は闇というから、それもわからぬでない。
 しかし、こうした一種の賭けに出ることは、俗受けすることはあっても、政治の王道ではなかろう。例えば、参院で否決、即解散と展開する前に、「衆参両院協議会」に付議する手もあったろう。郵政民営化法案は、僅差ながら衆院では可決されていたのだから、両院協議会を開くことに障害はなかったはずで、解散の前に、なぜこの手続きを踏まなかったのか、理解に苦しむ。
 民主政治の手法とは、民意と法の下での「手続・討議・妥協」で成り立っている、と私は信じている。総理総裁といえ、独断専行は認めがたい。なぜもっと時間をかけ、法案反対に回った衆院37人、参院22人の自民党議員を説得して、可能な限りの妥協を積む道を選ばなかったのか。そこに、小泉政治の拙さを感ずる。言ってしまえば、三世議員のお坊ちゃま気質まる出しだ。
 小泉首相は、かねてから「説明不足」とか「ワン・フレーズ論法の政治家」とか評されてきた。官邸詰め記者を相手の立ったまま会見はマメにやっても、諄々と説く姿勢のなさが目立った。明治以来、誰も手を着けなかった郵政改革を断行するのが使命というなら、そして、郵政民営化を「行政改革の本丸」と位置づけるなら、革命家よろしく、饒舌と言われるほど不断に語りかけ、論争を重ねるべきではなかったか。そこを欠いたから、党内さえ説き伏せられなかったのではないか。
 民主政治には、手間もヒマもカネもかかる。しかし、750億円もの国費をかけて、「宰相の賭け」とも言うべき総選挙の相手をさせられるにしては、首相の真意が滲透しているとは思えない。(;)

コメント

_ 本郷 竹庵 ― 2005年08月29日 23:59

 玄洋社ですか。懐かしいですねぇ。とにかく、菊の花が洋種になってしまっては、形無しですな。1991年から、世界中が民族主義に目覚めたというのに。残念なことです。

_ 竹庵翁 様 ― 2005年10月08日 15:28

 るいネットの数字を見て、小泉政権は国民の支持を必ずしも受けていない
ことがはっきりしました。
 数字上では二大政党制が実現しているのに、議席にあらわれない今の制度
は欠陥選挙制度だと思います。
 実感と議席があっていないと思ったのですが。
 自民党も税金を払わないカルトと組んで勝ってよろこぶとは、それこそ
末期症状だと思います。
 幕末の幕府に似ていると考えます。領土問題のほうではまだ江戸幕府のほうが骨があった!なさけないと思います。
 

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_ blog::TIAO - 2005年08月28日 17:57

「売国奴」は国民を売り飛ばす輩である。 庶民が日々の生活を節約し、将来の不測の事態に備えて残した貯蓄の重み、意味をどう考えているのか。ちりも積もって350兆円という巨額なものになってはいるが、これはこの国の庶民=国民の資産であって、国家が自由に欧米の金融マフィアへ上納金として献上してよいものでは決してない。 小泉ポチとその一党は、帝国の属領となり果てようとしているこの列島の現地総督府を握ってしまえば、自分たちの一族郎党、眷族だけは高位高官の椅子を与えられ、安泰であるとでも思っているようだ。百姓は生かさぬよう、殺さぬようにという悪代官として君臨するつもりか。 もし玄洋社健在なれば、こうした売国奴も枕を高くして眠ることなど出来なかったと思うのだが、敗戦後にそれを危惧して真っ先に解散させられている。...

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