改革のルーツ2006年01月06日 08:07

 姉歯元1級建築士の耐震強度欺罔に端を発した社会不安の震源地はワシントンである、と言ったら怪訝に思う方が多いだろう。しかし、この事件の根を丹念にたどっていくと、このような結論を掲げてもおかしくはない。
 1993年、時の宮沢喜一首相は、就任早々のクリントン米大統領との会談で「日米構造協議=Structural Impediment Initiative=正確な邦訳は<構造上の障害に関する提言>」を受け入れる。「ケイレツ」や「ユチャク」が、日米経済交流に摩擦を生じていた時分だ。
 以来、米商務省は毎年、日本政府に対して「U.S.-JAPAN REGULATORY REFORM AND COMPETITION POLICY INITIATIVE=米側邦訳は<日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく米国政府要望書>」をまとめ、詳細かつ具体的に「規制改革」や「民営化」についての政策要求を示し、わが国の歴代政府に実践を求めて来た。
 最新版の「要望書」は、2005年12月7日付で、駐日米大使館のホーム・ページに、公然と掲載されており、日本語の"仮訳"は、クリック一つ、http://japan.usembassy.gov/pdfs/wwwfj-regref20051207.pdf で読める。
 「橋本行革」とか「小泉改革」と呼ばれる政策になった「電気通信改革」「金融再編」「商法の大改正」「陪審制の導入に代表される裁判制度改革」「法科大学院制」「流通改革」「郵政改革」などは、すべて、一連の「米国政府要望書」に盛られた事項ばかりだ。
 耐震強度欺罔で問題化した「建築確認業務の民間開放」もまた、「要望書」に掲げられた1項目にほかならない。おかしなことに大メディアは、今までこの「要望書」の存在にほとんど触れることがなかった。そればかりか、「要望」と小泉改革の関連を衝いた国会での論議も、まともには報道していない。
 核の傘で国家の安全を守って貰い、貿易や国際金融、さらには食糧供給の面などでべったり依存し、米国への同化要求を受け容れて来た政治が、姉歯の犯罪の根源にある。(;)

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